Various Artists "We're A Happy Family"

RAMONESのトリビュート・アルバム"We're A Happy Family"が日本でもリリースされました。
そもそも、トリビュート・アルバムというのは極めて当たり外れの大きいモノです。
ミュージックビジネスとは、『芸術の発表』という目的でがある一方で
『金儲け』という目的もある訳です。
この二つの側面をトリビュートアルバムに当てはめるならば、
・俺たちが尊敬するあのバンドの曲をやってリスペクトだ。
・あのバンドはビッグネームだから、テキトーにカヴァーやらせて売ればガッポリ儲かるぜ。
という二つの本音が交錯する事になります。
私は、過去にも何枚かのトリビュート・アルバムを聞きましたが、
お金儲けを意図したトリビュートアルバムというのは結構多いものです。
そして、そういうアルバムは駄目な臭いがプンプンするのですぐわかります。
中でも酷かったのが『LAハードロッカーによるGUNS'ND ROSESのトリビュート』でした。
やっぱりLAハードロックの出世頭であるGUNS'ND ROSESの曲を、いまいちパッとしなかった
ザコの皆さんがやった所で、やっぱりいまいちパッとしないのです。
1,2曲ゲラゲラ笑える迷曲があっただけの、しょっぱいアルバムでした。
それに比べると、このアルバムは大変デキが良いです。
・カヴァーソングをやって小金を稼ぐ必要の無いビッグネームが満載
・ramonesファンだと言われなければ誰も気づかない、パンクとは全く無縁のバンドも出演。
この二つの理由を見れば、本作が単に金儲けを意図して作った作品では無い事が明白でしょう。
中でも不思議なのが、ライナーノーツを執筆しているスティーヴン・キング先生。
畑違いのバンドも何組か出ていますが、この人まで来ると最早ミュージシャンですらないし。
何曲かピックアップして紹介していきましょう。
1."Havana Affair" - Red Hot Chili Peppers
現在のレッチリの路線で、普通にパンクな原曲をアンニュイな歌謡曲にした感じです。
昔の激烈馬鹿ファンク路線でカヴァーした方が面白いのになぁと私は思いました。
4."53rd & 3rd" - Metallica
過去にRAMONESとRANCIDが、この曲で共演した事もああります。
その時は、RAMONESが何処で参加しているのか分かりにくいぐらい普通にパンクでしたが、
METALLICAがやると、微妙に重い曲調のハードコアパンク風になってしまいます。
スラッシュ・メタルはパンクからも影響を受けている為、
この辺りのカヴァーは良い感じにこなしており、自分達の路線に合わせて
上手に曲を選んだなと感心します。
5."Beat On The Brat" - U2
殆どひねりの無いバックの演奏に載って、ボノがしっとりと歌ってしまいます。
このミスマッチ、というかボンクラテイストをどう解釈するかは貴方次第でしょう。
意外にもRAMONESが大好きだったから出演したのでしょうか。
個人的にはこのアルバムで一番の笑い所です。
6."Do You Remember Rock and Roll Radio?" - KISS
予想通り何もヒネらずにやってます。ちょっとだけスタジアムロック風になっており、
パンクスが聞くと、癇に障るカヴァーかもしれません。
7."KKK Took My Baby Away" - Marilyn Manson
さすが、カヴァーとリミックスには高い実績のあるMM。
このアルバムの中で最もやりたい放題やらかし、妖しいゴシックにしてしまいました。
原曲が、"KKKが彼女をさらってったよ"というキッツい歌を明るく演奏する
という良く分からない曲であるのに対し、この歌詞を暗いゴシックでやると、
何処までも陰鬱です。MMのキャラクターを最大限に活かした上で、
ramonesの"穴"を狙ったとも言えるこの選曲とアレンジ。
まさに100点満点と言ってよいと思います。
8."I Just Want To Have Something To Do" - Garbage
ブッチ・ヴィグが渾身のプロデュース。みっしりと作りこんだ音にしています。
これだけ作りこんでも、次の曲で至って普通にコピーしているgreen dayのoutsiderと
デキが大して変わっていない事を気にしてはいけません。匠の仕事を楽しむべきでしょう。
13."I Wanna Be Sedated" - The Offspring ?
予想通り、カヴァーセンスゼロ。以上。
17."Today Your Love, Tomorrow the World" - John Frusciante
クレジット上に表記がありませんが、輸入版の20トラック目にこの曲が入っています。
ジャケット製作時に間に合わなかったのか、秘密のお楽しみボーナスなのかは不明ですが
まぁ、たいしたデキではないと思います。
RAMONESの曲自体が、極めてシンプルなスタイルである為か、
自分達の色を出そうとするバンドは、かなりやりたい放題やっている印象を受けました。
一方で、パンク系のアーティストはRAMONESへの敬意が大きすぎる為か、
アレンジも大人しめで、カヴァーというよりもコピーの域を出ていない印象です。
出演バンドを見る限り、かなりの大金が動いているアルバムなので、
日本でもさまざまなプロモーションがかけられて、話題になるであろうこのアルバム。
お気に入りのバンドが入っていれば、RAMONESを知らなくても十分に楽しめると思います。
RAMONESに興味をもたれる様であれば、RAMONES MANIAを買われると良いでしょう。
案外知ってる曲も多い筈です。
(公開時期:2003年2月)
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