MARILYN MANSON "the golden age of grotesque"

『この春はグロテスクできまりっ』
『ぜったい来るよ、春のグロテスク!』
女性ファッション誌風のコピーを作ってみましたが、やっぱり駄目でした。
グロテスク、という言葉のインパクトが強すぎて台無しです。
MARILYN MANSONは作品ごとに明確なコンセプトを確立しています。
今作"the golden age of grotesque"で提示されたコンセプトが冒頭に書いた『グロテスク』。
ベーシストのツィギー・ラミレズさん脱退後、初のフルアルバムとなる5枚目のフルアルバムです。
ツィギーさんの脱退によってバンド色が薄まるかと思いましたが、音楽的な路線に変化はありません。
音楽性に対する理解度の高いプロデューサー、ティム・スコルドさん(元KMFDM)が
新ベーシストを兼任した事も幸いしているのでしょう。
また、リミックス集ミニアルバム・REMIX&REPENTで見せた多彩なアレンジが
アルバムにも反映されており、前作までの3部作と比べて若干メタル色が薄まった感じです。
高品質のインダストリアルロックであり、音楽的ファンの期待を裏切らない良作です。
・・という音楽的な所見が"グロテスク"とまったくリンクしない所が、
MARILYN MANSONが、ロックシーンにおいて突出した存在である最大の理由でしょう。
即ち、ほとんどのミュージシャンが現在ヴィジュアル面での表現を行っていないのです。
これはグランジがロックシーンに残した負の遺産だと思うのですが、
グランジ・ムーヴメントによって、ロックシーンにはある不文律が成立しました。
「ミュージシャンは、ビジュアルにこだわらず真面目な格好をしましょう」
とい中学校の校則のようなものです。
「髪の毛をフワフワに立てるのはダセェ」「男のクセに女の子みたいな服着るなんて訳わかんねぇ」という主張。
グランジの主張は、流行としての限界点を超えて完全にマニアック化し、
もはや罰ゲームかと思うほどにド派手な格好をしまくっていたハードロック・ブームを直撃します。
そしてハードロックの凋落に繋がっていくのですが、その過程で「ロックスター=カッコ悪い」という意識が派生しました。
しかし、その中でMARILYN MANSONは真面目に音楽以外の部分での表現活動を過激に展開し、
グランジの影響をものともせずに古典的なスタイルのロックスターを目指します。
ケツ丸出しでMTVアウォードに出演したり、両性具有(厳密には両性具無、だと思いますが)になったりと
インパクトの強いルックスを追求し、世間の注目を集めていきます。
ただし彼らが極めて巧妙だったのは、『常識的にはアウト。でも放送コード的にはセーフ』
という領域を的確に見極めている点だと思います。
この部分において、MARILYN MANSONの先輩であるNINE INCH NAILSは一歩レベルが低く、
ビデオクリップに「死体ミンチ」とか「女性器にピアス」とか、バカでも分かる放送禁止映像を連発し、
放送時には当然のように編集されまくって何がなんだかわからないビデオクリップとしてお茶の間に流れていました。
この結果、NINの方が過激でありすぎる故にMMよりも過激に見えない、というねじれた現象が発生しています。
別に、髪の毛をフワフワにしたりピッチピチのレザーパンツが好きなのではないですが、
音楽以外の部分にもこだわったミュージシャンがもっと増えると楽しいなと思いました。
(公開時期 : 2003年5月)
コメント
生真面目職人
初めてのコメントなので、嬉しかったりしますよ。
MMのインタビューを見ていると、非常に頭が良いなと感じますね。
コロンバインでは、階段の裏みたいな寂れた変なトコで
インタビュー受けてるのが凄く気になる。
MMのインタビューを見ていると、非常に頭が良いなと感じますね。
コロンバインでは、階段の裏みたいな寂れた変なトコで
インタビュー受けてるのが凄く気になる。
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その時は、見掛け倒しのつまんねー奴と思ったのですが、
そのだいぶ後にボウリングフォーコロンバインを見た時、
数多いイカレた登場人物の中で、彼だけが実にマトモな事を言っていて、
やっと彼を理解しました。
クールを気取ってロックスターをこき下ろす小賢しいガキには
王道を行く者の気高さと、あえてその道を選ぶ理由などわかりますまい。