2008.08.25
カブトエビからカブトムシへ。そしてカブトムシともお別れ。
●カブトエビが死んでしまったら、カブトムシがやってきた。
●昨日紹介したカブトエビは8月に入る前に死んでしまいました。そしたらワイフのお父さんが、ノマドヒヨコに、オスとメス、一対のカブトムシをプレゼントしてくれたのです。
●なんか中途半端に終ってしまったカブトエビの観察日記。ということで、このカブトムシくんを続編として観察していくこととしました。

●今回はヒヨコもマネっこで、レポート作り。完成しなかったけど。
●ほんで、今日はノマドの「ぼくのカブトムシ」を紹介します。観察日記にはならず、細かい観察メモ1ページだけの内容ですけど。

「ぼくのカブトムシ
おおきさ:たて7せんち よこ3せんち つの3せんち
つのが みぎにまがってて、みぎのまえあしがなくて 口のまわりのけが べろのかわりをしてます。ほとんどはこげちゃいろだけど くびはちゃいろです。ふとももにけがはえています。かぶとむしはからだが3つにわかれています。」
●ノマドのオスカブトムシは、奇形で角がネジ曲がり、生まれつき前足が一本足らないのであった。お店で購入したジジはそこまではチェックしなかったよう…。可哀想に、カラダが弱く動きも鈍い。ムシキングのような覇気は微塵もない。
●一方ヒヨコのメスカブトムシは、生命力旺盛なパワフルギャル。こんにゃくゼリーみたいな「こんちゅうゼリー」をエサとして与えたら、必死に食らいついて、半日で食い切っちゃう。普通ゼリーを一日を2つ3つも食うか?「カブちゃんゴハンたべすぎだよー。おデブになっちゃうよー」ぽっこりオナカのヒヨコが心配するほど良く食う。しかもエサを与えないと、狭い虫カゴの中でブンブン羽音を立てて抗議するという迫力。ワイフは夜中にブンブンと響く羽音に怯えるようになるほど。
●カブちゃんとのお別れ。
●しかし、ノマドヒヨコのハワイ旅行中に、面倒をみることができないというコトで、このカブちゃんたちは、カゴから出して放してやる事にしたのです。カブちゃんとお別れの時。

●生命力に格差があり過ぎたオスメスのカブトムシ、今までは別々の虫カゴで育てていたので、2匹のご対面はこれが初めて。ヒヨコは感激!「カブちゃんたちのケッコンシキだね!カブちゃんキス!カブおうじとカブひめ!タマゴいっぱいうまれるといいな〜!」
●しかし、部屋の中に入って昼ゴハンを食べた後、再び庭に出てみると、カブひめの姿はもうありませんでした。さすがパワフルな行動派。早くも高い空へ去っていった。ヒヨコ「カブひめ、いっちゃった…。」エサを庭に置いておけばまたカブひめ戻ってくるかもよ。「そうだよね!こんちゅうゼリーいっぱいおいておこう!」でも、そんなんで戻って来るはずがないよね…。ヒヨコが一生懸命お世話したから、カブひめはどっかで元気にイッパイのタマゴを産むよ。ヒヨコ、窓から空を見上げて「カミサマ、カブひめをよろしくおねがいします…」
●一方ノマドのカブおうじは、虚弱にもいつまでも移動出来ず、枝にへばりついて動かない。放置して1日経ったら姿が見えなくなったので、ノマドがあたりを探したら、カブおうじ地面にポテリ。しかもソコをノマド間違えて踏んづけちゃった。「カブおうじさがしてたら、ガリッておとがして、カブちゃんふんじゃったんだよ!」ノマド、それでカブちゃん死んじゃったの!?「まだいきてる。またエダにのせといた」つーかカブトムシだから死なずに済んだけど、フツウのムシなら踏んだらペチャンコだよ、気をつけてくれよ…。
●そして、今日。カブおうじも姿を消した。あんなボロボロのカラダで(既にダニが全身に群がっていて羽根の内側を食い荒らしているようだった)、一体ドコに行ったんだろう。ノマドには、最後には元気に飛んでいったと伝えておこう。
2008.08.24
1年生ノマドの夏休みの自由研究。カブトエビが生まれて死ぬまで。
●ワイフとノマドヒヨコは、ワイフの妹サッちゃんのハワイ挙式の為に旅立っていった。病人のボクは一週間日本でお留守番。
(離陸前の機内のノマドヒヨコ)●帰国したらすぐ新学期のノマドは、夏休みの宿題をほぼ完璧に済まして出発していきました。コレがちょっとオモシロい。今日はこっそり皆さんにご紹介を。
●自由研究「カブトエビのかんさつ / おまけ ぼくのカブトムシ」
●メル友のヨーコさんが、夏休みのアタマに、ノマド宛へカブトエビ飼育セットをプレゼントしてくれたのです。
●カブトエビは、小さな甲殻類の一種で簡単に言うとミジンコの仲間みたいな生き物。プランクトン的な生き物でもありますが、大昔から進化せずに生き残った「生きた化石」ってヤツです。昔はシーモンキーとか言わなかったっけ?乾燥したタマゴを水で戻すとふ化して育ち出す逞しいヤツら。かくして、ノマドの夏休みの自由研究はこの生き物の観察となったのです。

●ノマドは写真のように、写真を貼ったり必死で説明を書き込んだりしてるのですが、解読するのは凄まじく難しい文字なので、ヤツの文章を書き起こしますね。
「7月10日 かぶとエビ カブトエビをプレゼントでもらって、そのひからカブトエビをそだてようとおもって かぶとエびがすめる水のよういをしました。」
※カブトエビは水道水のカルキや塩素にやられてしまうので、3日間ほど置き水をしないといけないのです。ちなみに原文のママに書き起こしますから誤字もイッパイです。漢字をチョッピリ使ってるのは、まだ授業で習ってない知識が既にあるんだという自慢の気分があります。
「7月13日 カぶトエビにひつようの ウッドチップやえいようを いれました。もちろんたまごもいれました。」
※円筒形の容器に、数種類の粉末を調味料のように水へ入れるのです。この中に細かい砂利やカブトエビのタマゴが入ってます。ウッドチップにはふ化直後のカブトエビが摂る栄養分がしみ込んでいる仕組みのようです。説明書を読み聞かせて手順は教えましたが、作業は全部ノマドにやらせました。

「7月14日あさ かぶとえびが3ひきうまれました。あわぶくヨリチイサカッタ。」
※マジ小さくて、点がチロチロ動いているのしか見えません。容器の内側についている気泡よりも小さいということで、そのアワブクとカブトエビの大きさ比べをイラストで図解してます。でも余りにヘタッピな絵なので省略します。あと、コイツの文章、ひらがなとカタカナが無秩序に切り替わる。
「7月17日 トリオプスが また1みりおおきくなってた。あとあわぶくとおなじくらいになってた。
・エビちゃん ↑4みり ←3みり
・エビエビちゃん ↑3みり ←2みり
・クリオネちゃん ↑3みり ←2みり」
※トリオプスというのは、英語でのカブトエビの名前らしい。そんで生まれた三匹にそれぞれ名前をつけてやっている。一番大きいのがエビちゃんで、2番目がエビエビちゃんとは安易な。クリオネちゃんは一番透き通っているという。ボクには全く区別がつかないが。矢印は縦方向横方向の大きさを示してる。
「7月18日 トリオプスが、からをぬいだ!!また1みりおおきくなってた。あわぶくよりおおきくなってた。 5みりー4みリ」
※カブトエビって脱皮すんのかよ!説明書にはそんなコト書いてなかったぞ?!
●ここで事件発生!!行方不明者発生。
「7月19日 こんどはトリオプスにえさをあげました。 クリオネちゃんがゆくえふめいになってしまった。もしかすると エビちゃんがたべちゃったかもしれない。のまども いもうとも ままも どっかにかくれているといいなとおもっている。 こんどは2みりおおきくなってた。もしかするとエビエビちゃんもたべられているかもしれない」
※十分な大きさに育ったら、粉末エサを与えるよう指示されているのだが、コレが一拍遅かったのか、共食い事件が起こってしまったっぽい。ノマド「クリオネちゃんがいないよー」と大騒ぎしていた。
「7月20日 カブトエビのクリオネちゃんとエビちゃんはいるけどエビエビちゃんがゆくえふめい」
※共食い闘争に負けたのはエビエビちゃんだったようだ。キビシいね、生き物の世界は。
「722 こんどは3みりおおきくなってた。 7みりー6みり」
※日付の書き方がイキナリ投げやり。ちょっとショックでモチベーション下落。
「7月25日 こんどは1せんち こえてたよ。エビちゃんもクリオネちゃんも きっとエビエビちゃんのことをかんがえているのかな 1せんち5みりー8みり」
※このくらいになると、かなりハッキリと見えてくる。やっとカメラで撮影出来る大きさになった。

(2匹写ってます。多分手前がクリオネちゃんで、奥がエビちゃんです)
「7月28日 からだがすきとおってる。しっぽはえびのしっぽのように。あしはいっぱいある。あしをうごかしてくうきをすう。口はおなかにある。おすとめすががったいしてる。 2せんちー7みり」
※甲羅の中の足を動かす事で、新鮮な酸素を含む水を体内にかき込んで生きているという。そんで原始的な生き物にありがちな雌雄同体で単性生殖するタイプ、と説明書に書いてあった。
●さらに衝撃の事件が!
「へえせい20ねんど 7月29日 おおきさはきのうとおなじ トリオプスがぜんいんしんじゃった!
なぜしんだ? おゆになった? ねっちゅうしょになった? おじいさんになってしんだ?
1ばんにしんだこ エビエビちゃん 2ばんにしんだこ クリオネちゃんとエビちゃん」
※カブトエビ全滅…。「トリオプスがぜんいんしんじゃった!」の字は赤の太マジックで強調してある。ノマドヒヨコの子供部屋は冷房がないからな…水温が上がり過ぎちゃったかな…。ノマドもヒヨコもしょんぼり。
「7月31日もく おとといトリオプスをつちにみずごとうめてあげた。」

※写真のイラスト、わかります?3匹のカブトエビをスコップで地面に埋めてやってる様子。そんで、雲の上で、エビちゃん、クリオネちゃん、エビエビちゃんが安らかに眠っている様子。「zzzzzz」だって。あっという間だったな。レスト・イン・ピース。最近でもヒヨコとノマドは庭で遊んでいる時、ふと思い出すと二人でカブトエビを埋めた場所で手を合わせてるのだった。
2008.08.23
分析的心理療法が始まる。瀬戸内海を夢想して聴くハーモニー。
●本日のBGM。BOYS II MEN「COOLEYHIGHMARMONY」1991-1992年
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●100円で売ってた。本来男性R&Bもの、特にこうした古典ハーモニーを駆使したコーラスグループは、ボクの趣味じゃない。ただ、このCDを見て、ボクが休職している間に転職して行った女の子がこのグループのコト大好きだったなーと思い出して購入してしまった。彼女は義理堅く休職中のボクを訪ねて転職の報告をしてくれたし、故郷の美しい海の風景を写メで撮ってメールしてくれたりした。
(山口県、凪の瀬戸内海)●ご存知の通り BOYS II MEN と言えば、90年代初頭の NEW JACK SWING 期を代表するコーラスグループだ。まだ、ヒップホップソウルというフォーマットすら成熟していない時代に、MOTOWNからデビューした彼らは、品行方正なオトコのコというイメージで、後発の JODECI みたいなツッパリぶりがなく物足りない印象があったもんだ。「ボーイからオトコへ」というグループ名通り、現在は立派なオッサンとして3人組で活動してる。レーベルはメジャー落ちしても来日はしょっちゅうだし頑張ってます。このグループの大ファンだった fuyu(仮名)は去年の来日時に無理矢理楽屋にまで潜り込んだ。彼女は英語がしゃべれるからメンバーと大層盛り上がったそうな。行動力のある娘だ。
●そして彼女には絶対音感までが備わっている。fuyuにはこのCDのハーモニーがどんな風に聴こえるのだろうか。70年代から活動するパンク/ニューウェーブバンド PERU UBU のヴォーカルさんがインタビューで「オレは深刻な音痴だから、普通の人間とは違う音の聴こえ方で音楽を聴いてる。ソレがオレの音楽に反映されてる」みたいな事を言ってた。同じように絶対音感の人には常人にはあり得ない音の聴こえ方がするのだろうか?ハーモニーの構造やボーカルの揺らぎがカッキーンと図形的に認知されるのだろうか? そうすれば世の中はスゴく楽しく見えるだろうな。
●ボクは「END OF THE ROAD」のような名バラードよりも、「MOTOWNPHILLY」に代表されるようなバリバリの NEW JACK SWING がイイ。くはー、マジ懐かしいわー、NEW JACK SWING。このBPM120くらいのスピード感は、その後のヒップホップとはかなり異質な感覚だよね。スッパンスッパンとノリを上げていく打ち込みスネア&キックがまさに90年代ドアタマですよ。
●ボクはハンドルネームを unimogroove と名乗るだけあって、完全にグルーヴの部分でしか音楽を聴いてない。バラードよりもダンスミュージックの方が断然好き。リズムとビートとベースのうねりこそが大事。音痴なのでメロディやボーカルにはあまり関心がない。音階として捕われないノイズ的な要素を音響として捉え、オモシロがってる。R&Bよりヒップホップの方が好きなのは、ラップそのものが持つ語感の人力グルーヴとトラックの融合感覚がオモシロいからだ。
●自律神経失調症とのお付合い(その66)〜「分析的心理療法、開始」編
●相変わらずのどかなデイケア生活が続いている。7時40分の電車に乗って、9時30分に病院に着く。片道約二時間の通院。学生時代でもこんな長時間移動を習慣としたことなんてない。一時はホントに死ぬほど遠いと思っていたが、だんだんカラダが慣れてきたのか、それなりにこなせるようになってきた。まあ、帰りに寄り道する体力はないけど。
●「精神科デイケア」は標準的な社会性や生活習慣を身につけるためのもの。しかし、このデイケアそのものでは、人間関係を構築したりすることは意味がない、とされてる。何度かスタッフさん達に釘を刺さされたが、この場は友人作りのためにあるわけじゃなく、再び社会に出るための準備をする所なのだ。ここでの社交に神経をすり減らしては、治療としては本末転倒。
●だから、デイケアの中では、個人情報の交換は禁じられている。名前はなんとなく知っていても、誰がどんな病気を患い、どんなクスリを飲んでて、どんな事情でココに来たとかは、お互いに話し合わない。職業も年齢も極力明かさない。
●そんなコトが前提ではありながら、週に何度もカオをあわせていれば、簡単な会話からポロポロ細かい事がわかってくる。
●思考回路が乙女チックなまま、齢44歳になってしまった、手芸好きのケイトさん(仮名)。いつもウットリしながら「院長先生ってホントにダンディよね〜」と繰り返している。この人、なんとこの病院が出来た時から通院していると言う!え?この病院いつ出来たんですか?「うーんと、15、6年前かしら?」長え!そんなに永い間通ってんだ!その流れで思わず年齢聞いちゃったんだよね。「アナタおいくつ?」ボクは34歳です。「えーっ!テッキリ同い年くらいだと思ってた!静かで落ち着いてらっしゃるから!」普段は比較的若く見られがちの童顔のボクとしては、見た目年齢の最高記録だ。
●女子高生のような表情で、ケイトさんはクレヨンしんちゃんのモノマネをボクに披露する。「おら、いけはたしんのすけですー」ボクは一瞬何のモノマネか全然理解出来ず失礼にも完全フリーズ、ケイトさん「ちょっと風邪気味くらいがよく似てるの」と恥ずかしそうに言い訳。で、このモノマネを憧れの院長先生に見せて大爆笑を誘った事を自慢しながら、「今度の院長診察ではナンのオハナシしようかしら〜」と楽しそうにオハナシするのだった。
●モヒカン頭の内田裕也似オジさん、モヒカンさん(仮名)は、相変わらずヒップなシャツを着てくる。市川団十郎の歌舞伎シャツ、勧行大相撲の横綱シャツに引き続き、この前は花魁3ショットシャツが登場した。歌麿スタイルの美人画に「花魁」と渋く書き添えてある。本人が言う所によると、モヒカンさんの家は冷房器具がナニもない上に、天井がトタンなので、家に帰るとそりゃもうスゴい灼熱地獄になっているそうである。一体どんな家に住んでいるんだろう。
●そのモヒカンさんのマージャン仲間で、いっつもムッツリと腕組みしている強面のオジさんがいる。短い口ひげを生やし、大きなグラサンをかけているので、一瞬その筋の人にも見える貫禄である。で、ある日そのオジさんがなんと「ゴルゴ13」のTシャツを来てやってきた!あのデューク東郷が、愛器M16ライフルを片手に大股で疾駆する姿がデカくプリントされている。コレ、最高のツッコミドコロでしょ!「すいません、シャツがカッコ良過ぎます!ゴルゴ13じゃないですか。ドコで売ってるんですか?」オジさん口のスミッコだけでニヤリと笑い、小さな声で「ユニクロ…」と呟いた。今後このオジさんの事はゴルゴさん(仮名)と呼ぶ。
●デイケアでは朝イチにクジ引きを行い、当日の司会進行(日直的役割)を決める段取りがある。このゴルゴさんが司会になった時、ゴルゴさんが深刻に口ベタだって事がわかった。ムッツリしてるのは渋くキメて黙ってるわけじゃなく、全然しゃべれないのだ。人前でしゃべるとなると、もう大変である。
●「意見箱」(←赤い厚紙で被われたポストみたいな箱。そんなもんあるなど気付かなかった)に寄せられた要望に関するディスカッションの進行など、もう見てられなかった。船場吉兆の女将が息子の会社幹部に発言内容を脇からささやいていたように、スタッフさんが議事進行をゴルゴさんに全部耳打ちして伝えている。議案は「朝のラジオ体操に第二を加えるべきか?」という、しょーもないといえばしょーもないモノだが、ナゼかゴルゴさんは「最近人が歌ってるカラオケをマジメに聞いてないモノが多過ぎる」と個人的不満を突如主張したりと、ドエラい遠回りをしながら満場反対でラジオ体操第二は却下された。
●いつもニコニコバタコさん(仮名)は、最近生まれて初めてのアルバイトに一生懸命。コンビニへ出荷するオニギリやサンドイッチを各店舗の発注通りにバスケットへ仕分けし、それを積み上げてトラックに積む仕事らしい。コンビニ行くとヨク見かける、トラックからパンやお弁当が配送されてくる時の、あのカゴだ。なにげに重たくなるあのカゴを抱えると、ヒジの内側にゴツゴツ当たってアザがいっぱい出来る。パッと見で、大量の注射痕かよ!とドキリとするくらいのアザだが、バタコさんは誇らしげにそのアザを見せてくれた。
●スタッフさんにも個性がある。一番年配のスタッフグランマキミさん(仮名)は、美輪明宏さんの話題をキッカケに、1950〜60年代の銀座で遊んでいた「みゆき族」であった事が判明した。
●美輪さんのステージをボクが何度か見たことがあると言ったら、まだアンダーグラウンドだった美輪明宏さんが専属歌手としてパフォーマンスしてたシャンソン喫茶「銀巴里」に行った事があるというのだ!おいおい、伝説の現場だよ!グランマキミさん「もうあの人の大きな眼といったら!この世のものと思えない美しさ!」スゲエ!その時代じゃ「みゆき通り」にたむろしてた「みゆき族」にも近いですよね!「あの頃は、街を歩くオジさんまでもが VAN のズボンを穿いたりしてて、息子のモンをオヤジが穿く時代になっちまったと笑ったもんですよ。VAN、ご存知です?」えーえー、いわゆるアイビールックってヤツですよね!(一瞬スニーカーの VANS が頭に浮かんでしまった)「そう、ワタシはかねまつの靴を買ってね、よく歩いたもんですよ」こりゃマジで「銀ブラ」だ!「ええ、エノケンさんのお芝居も見たんですよ」それは浅草六区で?「いえ、帝劇です」ほー!ティーンネイジャーだった頃のグランマキミさんは、かなりのハイブロウなヒップスターだったわけですよ!ビックリ!………一方、バタコさんなど若いメンバー&スタッフさん達は、半世紀も前のユースカルチャー談義に「すいません、ハナシ半分もわかんなかったですけどテキトウにうなずいてました」いや、ボクも当然リアルタイムであるはずがないですけどね。
●先日はまたまた料理教室の日で、サラダうどんとチャンプルーなどを作るコトとなった。ニッカポッカさん(仮名)は「チャンプルーにはゴーヤは入んないのかよ?」と野次を飛ばしたが、先日ニッカポッカさんが「ゴーヤはダメだぞ、ゴーヤは!」と抗議したから、トーフチャンプルーになった経緯を忘れてるらしい。ボクはこの人の無責任な野次が大好きだ。「オレはスタッフさんの給料日知ってるぜ、27日だろ!28日じゃない!」と今週も吹聴してた。
●オジさんメンバーのアイドルスタッフワーマさん(仮名)が担当するデザート班は即座に定員に達した(その中にはニッカポッカさんも、デイケアの長老ツエさん(仮名)もいる)ので、ボクはチャンプルー班に参加。しかしふと冷静になると、ゴーヤを入れずしてはチャンプルーはただの野菜炒めになってしまうのでは?と、不安になってきた。チャンプルーと野菜炒めの境界線とは…? しかし、最近デイケアに入ってきたボクと同世代の男性が「オレ、調理師免許持ってんですよ。仕事にしてるわけじゃないからペーパー調理師だけど」と宣言。オバさん連中もビックリする腕前で野菜をサクサク刻んでいく。このペーパー調理師さんの事は今後リシさん(仮名)と呼ぼう。リシさんの号令で四人のフライパン部隊が同時進行で野菜を炒め、味付けをリシさんが担当。見事4つのフライパンの味を均等にさばき、立派なチャンプルーに仕上げた。なぜ野菜炒めがチャンプルーになったのかボクにはさっぱり不明だが、他のメンバーさんからもこのチャンプルーは非常に評判がよかった。ボク個人としては、こんなに真剣に炒め物に立ち向かったのは、学生時代にプールサイドの焼きソバ屋さんでバイトした時以来だった。
●さて、このリシさん、不眠に悩まされてるとコボしてはいるが、端から見ると健康そのものでとても病気には見えない。なんでこんなにシッカリした人(おまけにイケメン)がココにいるのだろう。
●そんな彼は通常のデイケアとは別のククリとして、「OT」というプログラムも受けているという。「OT」が何の略だかはサッパリ分からないが、要は体力作りのためのスポーツ時間、しかも体育館でバスケやバレーボールをするような本格的に活発な運動をするモノらしい。「ここの6階にね、体育館があるんですよ。そこで一、二時間ほどカラダ動かすんです。麦茶とか飲み物も用意してあって、オモシロいですよ」えー!この建物には体育館まであるんですか?!すっげー!この病院はまだナゾが多過ぎて全容が掴めない。でもボクにはそんな過激な運動は無理だわ。また全身の筋肉が緊張して鍼灸を受けないといけなくなる。リシさんはスマートなスポーツマンタイプだからピッタリだろう。病院は病院でその人にあったプログラムをそれぞれの個性にあわせてキチンと提供してる。
●で、非スポーツマンタイプのボクに新たに提案されたのが「分析的心理療法」というモノだ。
●週一回50分専属のセラピストがあてがわれて、その人とボクの抱える問題について語り合うという代物………とは言うが、具体的にはさっぱりナニをするのか分からない。提案を切り出した担当カウンセラーのチーさん(仮名)に、ボクのイメージする所を打ち明けてみた。ボク「あの、アメリカの映画とかでよく出てくる、長椅子がとうとう出てくるんですか?」精神科の治療風景で、長椅子に横たわって視界の外に座るセラピストと夢の内容について語り合う…そんな感じ?
●チーさん、思わず笑いながら「ああ、アレはですね、ちょっと違うヤツなんですよ。アレは週4回とかやんなくちゃいけないモノで…。あの「精神分析」は確かに欧米では盛んですが、日本ではあまりやってません」ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい、「分析的心理療法」と「精神分析」は「精神」って字がついてるだけで全然違うものって訳ですか?「まー根本は一緒みたいなモンですが、「分析的心理療法」の方がカジュアルだって思って下さい。だから長椅子も出てきませんし、セラピストとフツウに対面して話するだけです」
●で、その「分析的心理療法」の初回の日がやって来た。
●担当カウンセラーのチーさんは登場せず、このプログラム専属のセラピスト(結果的にはチーさんと同じ臨床心理士という立場)が現れた。ゲーさん(仮名)という小柄で若い女性だ。この病院で最初にやらされた大量の心理テストの結果をレクチャーしてくれた人……だが、正直そのレクチャーはなんか要領を得なくてよくワカランかった。ちょっと不安。
●いつものカウンセリングルームに入り、正面に相対して話をする。コレはいつもと一緒。でもそっからはなんかちょっと違う。ゲーさん「まず、今日を含めて4回の面談をして、その上でこの治療が本当に unimogroove さんに必要かどうか、確認していこうと思います」はあ。「最初に、unimogroove さんの中でこの治療に対する動機付けをどう考えてらっしゃるのか、教えて下さい」はあ??? すんません、カウンセラーのチーさんがコレを受けてみたらどうですかというから、はいやります、って言ったまでで、一体どんな内容の治療だかも知らないのに、動機付けと言われても…。むしろ、ボクはまな板の上のタイみたいに、一体どんな風に料理されるのかと思ってたトコロなんですけど。他の先生には「イヤな事も思い出させられるから気をつけて」と言われてますから、なんかイロイロボクの過去の経験や記憶とか家族関係とかをホジクられていくんだと思ってたんですが。だからそれ以上のイメージはないし、「やる」と即答したのはタダの好奇心です。単純にオモシロそうだから。
●なんだか堂々巡りのような話が続いて、一回目の面談は終った。面談室を出て廊下を二人で歩く際、ゲーさんに尋ねた。聞かないでイイんですか?ボクの家族のコトとか生育歴とか。ボクのしゃべったコトは、ゲーさんの狙いに沿った内容になってるんですか?思いっきり的外れなコトになってません?ゲーさん「あら、そんな風に相手の期待を探ってしまうタイプですか?」ヤベ、なんかこの一言でなんかの類型にハメコマれるフラグが立ちそうだ。ボク「いえ、しゃべってる間は相手のコトなんか全く気にしません!気にしないコトを自分で知ってるから、後から確認するんです。少なくともゲーさんが楽しんでくれるようなハナシにしたいと思いますけどね」実際率直な本音だ。
●実際の治療とやらは、まずあと3回の面談をクリアしないと始まんないようだ。始まったとしても、たいしてオモシロくなさそう。ゲーさんがもうちょっとカワイかったらモチベーションの持ち方も違ったかも。だって小一時間ずっとその人のカオを見つめながらトークするのよ、ゲーさんはフツウの時は愛想がイイのに面談中は本気モードなのかカオが深刻になるからねー。その点チーさんは鉄壁の笑顔でどんな場面でも終始ニコニコしてる。男性だけど、警戒感を全くコチラに抱かせない。コレがキャリアの差か。あ、そんなコト言ってちゃダメだ。前もカワイい女医さん希望とか言って失敗した事があったっけ。
●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html
2008.08.15
サザン再聴その10。最終章。活動休止に至るクワタ氏の心理。
●今日は本来デイケアの日なんだけど、具合悪いので休んでます。
●夜中に3度目を覚まし、全然寝た感じがないまま朝を迎え、さらに意味不明なことに、両腕が上がらない。指が鉛のように重くてハシも持てないくらい。病院に一本電話をかけ「今日は休みます」と伝えた後は、死んだように眠りました。やっと眠れた…。40分風呂に浸かり、自律訓練法という自己暗示で筋肉の緊張を解くワザを使って、やっと手足がなんとか動くようになりました。
●ま、ちょっと前なら根性で病院行ってただろうけど、「無理しない奥義」に近づくためには、とっととギブアップするのが正解と考え、あっさり降伏した次第です。
●一方ノマドヒヨコ兄妹は、僕の実家に一泊旅行へ行きました。
●今週突然ノマドが「クニタチのジジのウチにいきたい」と言い出した。なんのつもりかわからんのでシカトしてしてたんだけど、どうやら、近所に流れる多摩川や雑木林のある公園で遊びたいという意味らしい。なら自分でジジにお願いすればイイだろうと、ボクが実家に電話し受話器をノマドに渡した。ノマド「えーと、カワにいってあそびたいの。あと、ジジとショウギしたいの。」そしたらボクの両親はセミがイッパイ獲れる場所もあるからムシ取り網を持ってらっしゃいと言ったようで、二人は大喜び。
●昨日の夜は二人とも盛り上がって、ヒヨコ「オメメつぶったらすぐにアサになってて、すぐジジのオウチにいけるヒになったらいいな!」とはしゃいでる。大事なお人形ベリーちゃんとペネロペも忘れない。今朝自動車でジジババがピックアップしにくる時も超ハイテンション。
●ボクはその時寝室でなんとか眠りたいとグッタリしてたのだか、ボクの母親はそれを一瞥して「あら、今日は死んでるのね」と一言。この味気ない対応がメチャ気になるのよ!去年も一週間実家に預けられた時も、どんなにボクがモガキ苦しんでても「大変そうね〜、じゃ、アタシたちちょっと出かけてくるから」と夫婦で一日中消えてしまう人たちだから。そんでそのあげく「だってアタシたちが何したってどうしょうもないじゃない」とケロッと言い放つ。そんな実家でマジで今月末一週間を過ごさないといけないのが不安でしょうがない。
●ノマドヒヨコ兄妹の楽しい夏休みの日々。
●今週はヒヨコの友達ハナちゃんミユちゃんたちと、流れるプールへ遊びに行きました。3人のママにコドモが全部で6人。目を離すとポロポロ子供が流れて行ってしまうので気が許せない状態だったそうだ。それって、鵜飼い漁みたいなモンだね。5〜6匹の生き物の動きを同時に捌くって意味で。
●夏休みの水泳教室でやっと水に潜れるようになったノマド。最初は出席してもボイコットしてプールにすら入らない、しかも言い訳は「プールの前に浴びるシャワーが「ジゴクシャワー」で冷た過ぎるから」と荒唐無稽な事を半ベソで言うほどだった。で、せっせとワイフが毎日プールに付き添ってやっと水の中で目が開けられる所まで行った次第。ノマド、水の中で目を開けるとどんな感じだ?「うーんと、スゴくキレイ!」
●ヒヨコと同い年でありながら早熟なクールビューティであるミユちゃんは、ノマドが必死で会得した潜水はとっくにクリアしている。そんなミユちゃんは、なんのつもりか終始流れるプールではノマドにベタベタくっついてきてた。後からノマドがコッソリ報告。「プールにもぐって、ミズのなかでミユちゃんと10ビョウ手をつないだんだよ」ヒヨコ「ノマド、ミユちゃんとすいちゅうデートしたの?!すいちゅうデート!」オマエ、それでロマンチックな思い出作ってもイイけど、自分がモテるとか錯覚するなよ、ボクの息子である以上ソレはありえないんだから。
●さあ、サザンオールスターズ再聴キャンペーン、オオラスでーす。
●今日は、2007〜08年に活発に活動した桑田佳祐氏のソロ活動を中心に取り上げます。
●例の缶コーヒーのCFで、黒澤明や植木等にジャイアント馬場、そして30年前の自分自身とCG共演するなど、メディア露出の激しい去年&今年のクワタ氏。「サザン活動休止」発表を直前に、ナニを思ってたのか考えたいわけです。
●そんで素材になるのが、コレ。
●DVD+CD「桑田さんのお仕事 07/08 〜魅惑のAVマリアージュ〜」2008年
●クワタ氏がこの2年で発表したシングルをまとめたCDと、ソレに伴うソロツアーの映像をDVDにしたもの。こまめに出してたシングルは、その都度このブログでもチェックしてたのだけど、アルバムとして並び替えられると印象も変わる。DVDは KUWATA BAND 時代からのソロキャリアを総括したもの。かなり見応えあります。
●しかし、その前に……。意味深なライナーノーツ。
●今回のブックレットにはクワタ氏のインタビューが掲載されてる。今年5月18日に「サザン活動休止」宣言、そのたった2ヶ月前のクワタ氏の言葉がココにある。そこには快活な口調の中に、近年の自分の活動への反省が入り交じっており、一種の煮詰まり感すら読み取れる。一部引用。
「うーん、何年か前にはちょっとこう、企画ありきみたいな曲の作り方をしちゃったことがあって。CMの話になっちゃうんだけど、大手企業なんかとやると。すぐに反射的にサザンの曲でもなんでも、新曲として世に出しちまうぞとか…。〜 それって音楽とCM、どっちがメインなんだかわかんなくなるような付き合わせ方になってるなと思ったの。〜 多分そういう曲は残らないんですよね、どっかこう器用に作っちゃってるから。正直、そういう曲が今まで何曲かあったような気がするんですよね」
●ジェイポップ世界の頂点を極めたビックバンド・サザンオールスターズ。そこに群がる代理店やスポンサーに対して、旺盛なサービス精神を持つクワタは反射的に、彼らが望むパブリックイメージとしての「サザン」をなぞってしまって来たのだった。そんな自分への反省がハッキリ示されてる。90年代後半からの「サザンによるサザン再生産」に、クワタ自身も危機を感じてたわけだ。さらに…。
「実はね、自分はけっこう、特にサザンのライブに関して今まで中途半端な気持ちでいることが多かった気がするんですよね。ある種の義務感っていうんですかね。〜『やれやれ、苦手なライブがやっと終ってよかったぁ』と思う俺がいたの。だからここ最近は自分が出たライブなんて改めて観たことがなかったし、出演したテレビも落ち込むのが嫌で観ないしね。〜 そういう意味では自分のやっていることに自信や愛着が持ててなかったんですよね。」
●そして、そんなサザンの活動に対して「自信や愛着が持てない」とまで発言するクワタ!ジェイポップの頂点という場所が、いかにこのオトコにとって居心地が悪い場所だったか、如実に語っている。
●映像すら観るのがイヤだったのに、じゃあなんで、今回はワザワザソロツアーをDVDにしてリリースするつもりになったのか?
「今回のツアーって僕にとって、今までのキャリアの中で一番情緒的にも音楽的にも良かったと思うんですよね。〜 何が良かったかって言うと、自分が要するに歌手でいられたってことなんです。好きな言葉で『流行歌手』って死語があるけど、その流行歌手が僕の中に降りてきたっていうんですかね。」
「今はほんのチョット気持ちを横に飛ばすとね、何度も言うように俺が桑田佳祐を利用すればいいんだっていう。まあ、それしかなかったんですよね。」
「なにせ皆さんからいただいた30周年というキャリアだから、そのアドバンテージに乗るしかないなぁと思ってて。僕はどっかでずっと、サザンオールスターズというイメージのギャップみたいなものに悩んで来たんだけど、もう悩み続けて30周年ですから(笑)」
●「流行歌手」。ナニかに吹っ切れた男の姿が、この発言から見える。欧米ロックが大好きで入ったこの道。しかし日本の聴衆は最初に彼をコミックバンドとして迎えた。で、シングルがミリオンで売れるようになると、カネに群がるビジネスマンが大勢やって来た。そんな音楽業界のど真ん中で彼は悩んでいたに違いない。「俺のロックってナニよ?!」明るく楽しいサザンサウンドに対して、彼のソロが一貫してロックのトゲを備えていたのは、まさしく「俺のロックってナニよ?!」という葛藤の現れだったと思う。
●しかし2007年にリリースした3枚のシングルには、もう「ロックンローラー」という気負いはなくなっている。「流行歌手」になったのだ。3rdソロ「ROCK AND ROLL HERO」でトゲだけのロックはもうプレイできない、そのトゲは自分自身にしか刺さらない、ただの自傷行為と気付いてしまった。だって自分は「DIRTY OLD MAN」だから。副題は「さらば夏よ」だから。
●そして「サザン」という巨大な虚像からも自由になろうとしてる。もうサウンド的にソロとサザンを区別する境界はなくなった。彼は好きな時にロックし、好きな時にポップスを歌う。好きなテーマを自由に歌う。それが「流行歌手」でしょ。そのためなら手垢の付きまくった「桑田佳祐」の看板を存分に利用するとまで開き直る。
●ここまでくれば、クワタにとって「サザンオールスターズ」が必要なくなったコトが自然だったと理解出来る。30周年目にして「夏」は終わった。サザンのイメージに引きずり回される事もなくなる。このDVD+CD発売2ヶ月後に、サザンは活動休止宣言をする。
●オーディオ編。
●「KILLER STREET」の窒息感、冗長でつかみ所のない迷宮のような印象から一転して、既発シングル3枚+新曲2つのアルバムは、スゴく風通しがイイ。この気持ちよさはナニ? もう今までのソロアルバムから比べたら天と地ほどテンションが違う。「ロックのトゲ」に固執していた今までのソロとは別格の、肩のチカラを抜いたリラックス感。しかもサザンというバンドサウンドとも縁を切った自由な無重力状態。何度でも何度でも聴ける。曲順の構成だけで、曲も新しい響きを持って甦る。
●ほとんどがタイアップソングということで聴き馴染みタップリだけど、その偏見から離れると、久々に肩の力が抜けた痛快なクワタがいる。かつて繰り返してきた「企画ありきみたいな曲の作り方」を自己反省したクワタの、本来の曲の強度が見えてくる。
●「NUMBER WONDA GIRL 〜恋するワンダ〜」は、商品名丸出しのCFソングと見せかけて、世界で一番最初の女性ロックンローラー WANDA JACKSON へのトリビュートだってハナシは前も書いたっけ。ワンダと来て洋楽博覧強記のクワタが WANDA JACKSON を連想しないわけがない。YOU TUBE で見てもらえば分かるけど気合い入った姐さんだよ WANDA は。まさに「魔性の POWER 女 MAGIC ー NUMBER WONDA GIRL !」だ。彼女に負けない痛快ロックはダイスキだね。
●その流れから「男達の挽歌 [エレジー]」に突入する。この曲からは、やはり缶コーヒー WONDA のCFの縁でCG合成共演してしまった、昭和の偉大なコメディアン植木等の影が見えてくる。
「どうせ生まれてきたなら アホらしいのもアリだぜ ココで一発キメたら 幸せってヤツさ!!」
「どうよ、最近巷に 面白ェ奴ァいるのかい? 陽気に笑い飛ばせば 男前ってヤツさ!!」
●全盛期の植木等は男前でしょ。身長もあるし顔も整っている。そんなヤツが「金がないヤツはオレんとこへ来い、オレもないけど心配するな」と能天気に歌う。サラリーマンは日本一気楽じゃない稼業になりつつあるが、なんだかよくワカランけど一緒にいれば全部がウマくいっちゃうような陽性オーラを放射し続けた植木さんのスピリッツが、このアッケラカンと明るいロックに憑依してる気がする。今年52歳クワタのオヤジ力が、このオヤジロックを駆動する。
●うって変わって次に続く「風の詩を聴かせて」は、チルアウトソング。基本がアコギとボンゴでリズムを作るこの曲は、実はクワタ版アフターサーフミュージックだ。メロディはクワタ節でも揺らぐグルーヴは JACK JOHNSON を目指してる。シングル1曲目の時にはそんな風に聴こえなかったけど。
●この後には「原由子」名義で一曲楽しいポップソングが。「大好き!ハッピーエンド」。メロディに突入すると、多分木村カエラとかにピッタリなアイドルポップスになるけど、イントロのギターリフとクワタ参加のコーラスに中期ビートルズ(「DAY TRIPPER」)?が一瞬だけデジャヴする。マジ一瞬だけど。間奏とかアウトロにガキッと極まったヴィンテージな音が散らばってる。
●「MY LITTLE HOMETOWN」では、久しぶりの本格レゲエアプローチ。つーかロックステディ?そしてスカへ変調したり。サザンは80年代ドアタマからレゲエに手を出してる。ERIC CLAPTON大好きなクワタから見れば、「I SHOT THE SHERIFF」経由でレゲエは70年代前半から馴染み深いモンだったに違いない。もちろん、今どきのダンスホールな真似事はしないけど。能天気な祭りの気配がイイ感じ。
●ヴィジュアル編。
●桑田佳祐 LIVE TOUR 2007「呼び捨てでも構いません!! 「よっ、桑田佳祐」SHOW AT 横浜アリーナ 2007.12.31。ツアー最終日の年越しカウントダウンライブ。選曲は KUWATA BAND の全シングル4曲を網羅し、1stソロ「KEISUKE KUWATA」から5曲も出してる。印象としては、ホントに初心回帰。ソロキャリアを一番最初から丁寧になぞるクワタ。お祭り騒ぎのサザンパフォーマンスとは違う、緩急のメリハリを自然に組み上げたリラックス(&ノスタルジック)な展開に、やはり風通しのイイ気持ちよさを感じる。
●第一曲目の「哀しみのプリズナー」はCD「KEISUKE KUWATA」でも一曲目。懐かしい!そして「BAN BAN BAN」!KUWATA BAND の1stシングルで、ボクが初めておこづかいで買ったレコード(中学1年生)。「東京ジプシーローズ」などはCDよりもずっとカッコいいロックになってた。「真夜中のダンディー」もグッとソウルフルで、渋い諦観を込めた侘しいリリックにタフな肉体を与えてた。
●ここぞの見せ場はアンコールか。2ndソロ「孤独の太陽」一曲目の「漫画ブルース」から第二ラウンド開始。原曲は BOB DYLAN が憑依したトーキングブルースで、アコギを掻きむしりながらササクレだった風刺を機関銃のように乱射するスリリングなモノだった。コレをテンポダウンしたバンドサウンドにして、風刺の対象を2007年度版に書き下ろして歌う。せっかくの風刺リリックも原曲のハイスピードパワーで絶叫したらナニ言ってるか100%わかんないだろうからね。
●名付けて「漫画ブルース07」。新歌詞を紹介。
「赤坂の一等地の 議員宿舎は何故安い? 天下る役人の受け皿施設は何故無駄にデカい?
〜 Ah 震災被災者は未だに仮住まい…
「名前はどこに消えた? 記録から消え失せた。そのうえ増税で穴埋めするだと?年金の魂
〜 Ah 「100年安心♥」なんざぁフザケろよ !!」
「守られるべき国民が拉致られて30年 国交正常化などという美談で事実を風化させるなよ
〜 Ah 総理!! 公約通りにやらんかい !!」
「自衛隊は命懸けで 戦場に橋を架ける 事務方トップは焼肉接待、ゴルフで賭ける
〜 Ah 防衛産業 料亭でカッポレ !!」
「人の生命のためにやるべきことはそれか? どうして早めの対応と治療を拒んだ?薬害の魂
〜 Ah 官僚、メーカー、注射したろか !?」
「社長の僕は知りません社員が全て勝手にやりました 消費期限も材料も産地もデタラメ食品の嵐
〜 Ah 一番安全美味いのはダンボール !?」
●アンコールも最後の最後。バンドを全員引き上げさせて、クワタは一人一本のエレキを担ぐ。
●そこで歌うのが「希望の轍」だ。アルバム「稲村ジェーン」に収録されているが、なぜかこのアルバムだけクレジットが「SOUTHERN ALL STARS AND ALL STARS」。ナニ?この含みを持たせたバンド名?。基本サザンの正式アルバムにカウントされていながら、実はクワタ以外のサザンのメンバーが全く関わってない曲が多く含まれているのがこのアルバムの秘密。
●そんで、この「希望の轍」こそが、サザンが全く関わらなかったクワタソロ曲なのだ。サザンを代表するビッグチューンだけど、実は隠れソロだったわけ。もうそれもカミングアウト。サザンとソロの境界が完全消滅したと取ればイイのか、サザンなんてオレん中で所詮この程度のモンという開き直りか。とにかく象徴的なラストでこのライブは幕を閉じる。
●最終シングル。
●「I AM YOUR SINGER / OH!! SUMMER QUEEN 〜夏の女王様〜」2008年
●もうどこでもかしこでもヘヴィプレイ過ぎ。レコ屋でも有線でもラジオでもCMでもワイドショーでもかかり過ぎ。もういいワ、さすがに。曲の内容は、まさしく30年を支えてくれたファンへの感謝の気持ちとサービズ精神のカタマリ。サザンのヒット曲を全部足して、そんでその数で割ったかのようなポップソング。もうファンの為です、オレのアーティストエゴは消し去って、ファンの中にあるオレらのイメージを正確になぞってあげます、というフル出力のサービス精神。だって「ボクはキミのシンガー」なんだから。ホント、コレで最後なんだから正しい姿勢ですよ。
●カップリングは、ロックサイドのサザンを全部合体させたチューン。夏&海&渚&恋愛&チョッピリスケベ、というサザンの王道テーマがすべて搭載のフルアーマー仕様。
●サザンオールスタースは青山学院大学の学生バンドがそのまま発展したモノだ。桑田佳祐は、22歳でデビューして、その大学生ノリのテンションのままで、この30年を駆け抜けた。人一倍のサービス精神と目立ちたがり根性で、日本人全体の期待に応えてきた(日本人でサザンを聴いた事のない人は物凄く希でしょ)。
●その彼が、オヤジとなった自分の顔を見て、とうとうその重荷を下ろそうと決意した。52歳。彼のクリエイティヴは枯渇する気配なしだが、サザンというフォーマットで戦う時代は終わったわけだ。
●ボクは病気になって、大好きな仕事から引きはがされ、もうその能力もスキルも失われてしまい、ニートも同然になってしまったんだけど、桑田佳祐の大きな決断と転身に、なんか勇気づけられる気分なのです。「ヘンな無理をせず、自分が納得の行くやり方で、それなりに生きていく」という選択をした先輩として。だから文章も最近はスゴく粘っこくなって、読める人なんていない状況になってました。とにかく、30年お疲れ様でした。さようなら、サザン。コレからもイイ音楽作って、クワタさん。
●オマケ。ボクはサザンの変遷を時期に区切って考えてました。
・第一期:1978年〜1982年 バンドデビューから、異形のバンドとして立場を作った時代
・第二期:1982年〜1986年 デジタル楽器を導入してサザンサウンドを確立する時代
・第三期:1986年〜1989年 KUWATA BAND、初のクワタソロの時代
・第四期:1989年〜1995年 復活サザン、小林武史とのコラボ時代、クワタセカンドソロ
・第五期:1995年〜2000年 サザン、商業的には絶頂期……でも…?
・第六期:2000年〜2008年 クワタソロ活発化、「キラーストリート」。そして活動休止。
●もうコレで決着です。おしまい。
●過去の関連記事はこちらに。
「サザン再聴、その9」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-498.html
「サザン再聴、その8」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080801.html
「サザン再聴、その7」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080607.html
「サザン再聴、その6」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080327.html
「サザン再聴、その5」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080317.html
「サザン再聴、その4」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html
「サザン再聴、その3」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071206.html
「サザン再聴、その2」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20070802.html
「サザン再聴、その1」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-69.html
●夜中に3度目を覚まし、全然寝た感じがないまま朝を迎え、さらに意味不明なことに、両腕が上がらない。指が鉛のように重くてハシも持てないくらい。病院に一本電話をかけ「今日は休みます」と伝えた後は、死んだように眠りました。やっと眠れた…。40分風呂に浸かり、自律訓練法という自己暗示で筋肉の緊張を解くワザを使って、やっと手足がなんとか動くようになりました。
●ま、ちょっと前なら根性で病院行ってただろうけど、「無理しない奥義」に近づくためには、とっととギブアップするのが正解と考え、あっさり降伏した次第です。
●一方ノマドヒヨコ兄妹は、僕の実家に一泊旅行へ行きました。
●今週突然ノマドが「クニタチのジジのウチにいきたい」と言い出した。なんのつもりかわからんのでシカトしてしてたんだけど、どうやら、近所に流れる多摩川や雑木林のある公園で遊びたいという意味らしい。なら自分でジジにお願いすればイイだろうと、ボクが実家に電話し受話器をノマドに渡した。ノマド「えーと、カワにいってあそびたいの。あと、ジジとショウギしたいの。」そしたらボクの両親はセミがイッパイ獲れる場所もあるからムシ取り網を持ってらっしゃいと言ったようで、二人は大喜び。
●昨日の夜は二人とも盛り上がって、ヒヨコ「オメメつぶったらすぐにアサになってて、すぐジジのオウチにいけるヒになったらいいな!」とはしゃいでる。大事なお人形ベリーちゃんとペネロペも忘れない。今朝自動車でジジババがピックアップしにくる時も超ハイテンション。
●ボクはその時寝室でなんとか眠りたいとグッタリしてたのだか、ボクの母親はそれを一瞥して「あら、今日は死んでるのね」と一言。この味気ない対応がメチャ気になるのよ!去年も一週間実家に預けられた時も、どんなにボクがモガキ苦しんでても「大変そうね〜、じゃ、アタシたちちょっと出かけてくるから」と夫婦で一日中消えてしまう人たちだから。そんでそのあげく「だってアタシたちが何したってどうしょうもないじゃない」とケロッと言い放つ。そんな実家でマジで今月末一週間を過ごさないといけないのが不安でしょうがない。
●ノマドヒヨコ兄妹の楽しい夏休みの日々。
●今週はヒヨコの友達ハナちゃんミユちゃんたちと、流れるプールへ遊びに行きました。3人のママにコドモが全部で6人。目を離すとポロポロ子供が流れて行ってしまうので気が許せない状態だったそうだ。それって、鵜飼い漁みたいなモンだね。5〜6匹の生き物の動きを同時に捌くって意味で。
●夏休みの水泳教室でやっと水に潜れるようになったノマド。最初は出席してもボイコットしてプールにすら入らない、しかも言い訳は「プールの前に浴びるシャワーが「ジゴクシャワー」で冷た過ぎるから」と荒唐無稽な事を半ベソで言うほどだった。で、せっせとワイフが毎日プールに付き添ってやっと水の中で目が開けられる所まで行った次第。ノマド、水の中で目を開けるとどんな感じだ?「うーんと、スゴくキレイ!」
●ヒヨコと同い年でありながら早熟なクールビューティであるミユちゃんは、ノマドが必死で会得した潜水はとっくにクリアしている。そんなミユちゃんは、なんのつもりか終始流れるプールではノマドにベタベタくっついてきてた。後からノマドがコッソリ報告。「プールにもぐって、ミズのなかでミユちゃんと10ビョウ手をつないだんだよ」ヒヨコ「ノマド、ミユちゃんとすいちゅうデートしたの?!すいちゅうデート!」オマエ、それでロマンチックな思い出作ってもイイけど、自分がモテるとか錯覚するなよ、ボクの息子である以上ソレはありえないんだから。
●さあ、サザンオールスターズ再聴キャンペーン、オオラスでーす。
●今日は、2007〜08年に活発に活動した桑田佳祐氏のソロ活動を中心に取り上げます。
●例の缶コーヒーのCFで、黒澤明や植木等にジャイアント馬場、そして30年前の自分自身とCG共演するなど、メディア露出の激しい去年&今年のクワタ氏。「サザン活動休止」発表を直前に、ナニを思ってたのか考えたいわけです。
●そんで素材になるのが、コレ。
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●DVD+CD「桑田さんのお仕事 07/08 〜魅惑のAVマリアージュ〜」2008年
●クワタ氏がこの2年で発表したシングルをまとめたCDと、ソレに伴うソロツアーの映像をDVDにしたもの。こまめに出してたシングルは、その都度このブログでもチェックしてたのだけど、アルバムとして並び替えられると印象も変わる。DVDは KUWATA BAND 時代からのソロキャリアを総括したもの。かなり見応えあります。
●しかし、その前に……。意味深なライナーノーツ。
●今回のブックレットにはクワタ氏のインタビューが掲載されてる。今年5月18日に「サザン活動休止」宣言、そのたった2ヶ月前のクワタ氏の言葉がココにある。そこには快活な口調の中に、近年の自分の活動への反省が入り交じっており、一種の煮詰まり感すら読み取れる。一部引用。
「うーん、何年か前にはちょっとこう、企画ありきみたいな曲の作り方をしちゃったことがあって。CMの話になっちゃうんだけど、大手企業なんかとやると。すぐに反射的にサザンの曲でもなんでも、新曲として世に出しちまうぞとか…。〜 それって音楽とCM、どっちがメインなんだかわかんなくなるような付き合わせ方になってるなと思ったの。〜 多分そういう曲は残らないんですよね、どっかこう器用に作っちゃってるから。正直、そういう曲が今まで何曲かあったような気がするんですよね」
●ジェイポップ世界の頂点を極めたビックバンド・サザンオールスターズ。そこに群がる代理店やスポンサーに対して、旺盛なサービス精神を持つクワタは反射的に、彼らが望むパブリックイメージとしての「サザン」をなぞってしまって来たのだった。そんな自分への反省がハッキリ示されてる。90年代後半からの「サザンによるサザン再生産」に、クワタ自身も危機を感じてたわけだ。さらに…。
「実はね、自分はけっこう、特にサザンのライブに関して今まで中途半端な気持ちでいることが多かった気がするんですよね。ある種の義務感っていうんですかね。〜『やれやれ、苦手なライブがやっと終ってよかったぁ』と思う俺がいたの。だからここ最近は自分が出たライブなんて改めて観たことがなかったし、出演したテレビも落ち込むのが嫌で観ないしね。〜 そういう意味では自分のやっていることに自信や愛着が持ててなかったんですよね。」
●そして、そんなサザンの活動に対して「自信や愛着が持てない」とまで発言するクワタ!ジェイポップの頂点という場所が、いかにこのオトコにとって居心地が悪い場所だったか、如実に語っている。
●映像すら観るのがイヤだったのに、じゃあなんで、今回はワザワザソロツアーをDVDにしてリリースするつもりになったのか?
「今回のツアーって僕にとって、今までのキャリアの中で一番情緒的にも音楽的にも良かったと思うんですよね。〜 何が良かったかって言うと、自分が要するに歌手でいられたってことなんです。好きな言葉で『流行歌手』って死語があるけど、その流行歌手が僕の中に降りてきたっていうんですかね。」
「今はほんのチョット気持ちを横に飛ばすとね、何度も言うように俺が桑田佳祐を利用すればいいんだっていう。まあ、それしかなかったんですよね。」
「なにせ皆さんからいただいた30周年というキャリアだから、そのアドバンテージに乗るしかないなぁと思ってて。僕はどっかでずっと、サザンオールスターズというイメージのギャップみたいなものに悩んで来たんだけど、もう悩み続けて30周年ですから(笑)」
●「流行歌手」。ナニかに吹っ切れた男の姿が、この発言から見える。欧米ロックが大好きで入ったこの道。しかし日本の聴衆は最初に彼をコミックバンドとして迎えた。で、シングルがミリオンで売れるようになると、カネに群がるビジネスマンが大勢やって来た。そんな音楽業界のど真ん中で彼は悩んでいたに違いない。「俺のロックってナニよ?!」明るく楽しいサザンサウンドに対して、彼のソロが一貫してロックのトゲを備えていたのは、まさしく「俺のロックってナニよ?!」という葛藤の現れだったと思う。
●しかし2007年にリリースした3枚のシングルには、もう「ロックンローラー」という気負いはなくなっている。「流行歌手」になったのだ。3rdソロ「ROCK AND ROLL HERO」でトゲだけのロックはもうプレイできない、そのトゲは自分自身にしか刺さらない、ただの自傷行為と気付いてしまった。だって自分は「DIRTY OLD MAN」だから。副題は「さらば夏よ」だから。
●そして「サザン」という巨大な虚像からも自由になろうとしてる。もうサウンド的にソロとサザンを区別する境界はなくなった。彼は好きな時にロックし、好きな時にポップスを歌う。好きなテーマを自由に歌う。それが「流行歌手」でしょ。そのためなら手垢の付きまくった「桑田佳祐」の看板を存分に利用するとまで開き直る。
●ここまでくれば、クワタにとって「サザンオールスターズ」が必要なくなったコトが自然だったと理解出来る。30周年目にして「夏」は終わった。サザンのイメージに引きずり回される事もなくなる。このDVD+CD発売2ヶ月後に、サザンは活動休止宣言をする。
●オーディオ編。
●「KILLER STREET」の窒息感、冗長でつかみ所のない迷宮のような印象から一転して、既発シングル3枚+新曲2つのアルバムは、スゴく風通しがイイ。この気持ちよさはナニ? もう今までのソロアルバムから比べたら天と地ほどテンションが違う。「ロックのトゲ」に固執していた今までのソロとは別格の、肩のチカラを抜いたリラックス感。しかもサザンというバンドサウンドとも縁を切った自由な無重力状態。何度でも何度でも聴ける。曲順の構成だけで、曲も新しい響きを持って甦る。
●ほとんどがタイアップソングということで聴き馴染みタップリだけど、その偏見から離れると、久々に肩の力が抜けた痛快なクワタがいる。かつて繰り返してきた「企画ありきみたいな曲の作り方」を自己反省したクワタの、本来の曲の強度が見えてくる。
●「NUMBER WONDA GIRL 〜恋するワンダ〜」は、商品名丸出しのCFソングと見せかけて、世界で一番最初の女性ロックンローラー WANDA JACKSON へのトリビュートだってハナシは前も書いたっけ。ワンダと来て洋楽博覧強記のクワタが WANDA JACKSON を連想しないわけがない。YOU TUBE で見てもらえば分かるけど気合い入った姐さんだよ WANDA は。まさに「魔性の POWER 女 MAGIC ー NUMBER WONDA GIRL !」だ。彼女に負けない痛快ロックはダイスキだね。
●その流れから「男達の挽歌 [エレジー]」に突入する。この曲からは、やはり缶コーヒー WONDA のCFの縁でCG合成共演してしまった、昭和の偉大なコメディアン植木等の影が見えてくる。
「どうせ生まれてきたなら アホらしいのもアリだぜ ココで一発キメたら 幸せってヤツさ!!」
「どうよ、最近巷に 面白ェ奴ァいるのかい? 陽気に笑い飛ばせば 男前ってヤツさ!!」
●全盛期の植木等は男前でしょ。身長もあるし顔も整っている。そんなヤツが「金がないヤツはオレんとこへ来い、オレもないけど心配するな」と能天気に歌う。サラリーマンは日本一気楽じゃない稼業になりつつあるが、なんだかよくワカランけど一緒にいれば全部がウマくいっちゃうような陽性オーラを放射し続けた植木さんのスピリッツが、このアッケラカンと明るいロックに憑依してる気がする。今年52歳クワタのオヤジ力が、このオヤジロックを駆動する。
●うって変わって次に続く「風の詩を聴かせて」は、チルアウトソング。基本がアコギとボンゴでリズムを作るこの曲は、実はクワタ版アフターサーフミュージックだ。メロディはクワタ節でも揺らぐグルーヴは JACK JOHNSON を目指してる。シングル1曲目の時にはそんな風に聴こえなかったけど。
●この後には「原由子」名義で一曲楽しいポップソングが。「大好き!ハッピーエンド」。メロディに突入すると、多分木村カエラとかにピッタリなアイドルポップスになるけど、イントロのギターリフとクワタ参加のコーラスに中期ビートルズ(「DAY TRIPPER」)?が一瞬だけデジャヴする。マジ一瞬だけど。間奏とかアウトロにガキッと極まったヴィンテージな音が散らばってる。
●「MY LITTLE HOMETOWN」では、久しぶりの本格レゲエアプローチ。つーかロックステディ?そしてスカへ変調したり。サザンは80年代ドアタマからレゲエに手を出してる。ERIC CLAPTON大好きなクワタから見れば、「I SHOT THE SHERIFF」経由でレゲエは70年代前半から馴染み深いモンだったに違いない。もちろん、今どきのダンスホールな真似事はしないけど。能天気な祭りの気配がイイ感じ。
●ヴィジュアル編。
●桑田佳祐 LIVE TOUR 2007「呼び捨てでも構いません!! 「よっ、桑田佳祐」SHOW AT 横浜アリーナ 2007.12.31。ツアー最終日の年越しカウントダウンライブ。選曲は KUWATA BAND の全シングル4曲を網羅し、1stソロ「KEISUKE KUWATA」から5曲も出してる。印象としては、ホントに初心回帰。ソロキャリアを一番最初から丁寧になぞるクワタ。お祭り騒ぎのサザンパフォーマンスとは違う、緩急のメリハリを自然に組み上げたリラックス(&ノスタルジック)な展開に、やはり風通しのイイ気持ちよさを感じる。
●第一曲目の「哀しみのプリズナー」はCD「KEISUKE KUWATA」でも一曲目。懐かしい!そして「BAN BAN BAN」!KUWATA BAND の1stシングルで、ボクが初めておこづかいで買ったレコード(中学1年生)。「東京ジプシーローズ」などはCDよりもずっとカッコいいロックになってた。「真夜中のダンディー」もグッとソウルフルで、渋い諦観を込めた侘しいリリックにタフな肉体を与えてた。
●ここぞの見せ場はアンコールか。2ndソロ「孤独の太陽」一曲目の「漫画ブルース」から第二ラウンド開始。原曲は BOB DYLAN が憑依したトーキングブルースで、アコギを掻きむしりながらササクレだった風刺を機関銃のように乱射するスリリングなモノだった。コレをテンポダウンしたバンドサウンドにして、風刺の対象を2007年度版に書き下ろして歌う。せっかくの風刺リリックも原曲のハイスピードパワーで絶叫したらナニ言ってるか100%わかんないだろうからね。
●名付けて「漫画ブルース07」。新歌詞を紹介。
「赤坂の一等地の 議員宿舎は何故安い? 天下る役人の受け皿施設は何故無駄にデカい?
〜 Ah 震災被災者は未だに仮住まい…
「名前はどこに消えた? 記録から消え失せた。そのうえ増税で穴埋めするだと?年金の魂
〜 Ah 「100年安心♥」なんざぁフザケろよ !!」
「守られるべき国民が拉致られて30年 国交正常化などという美談で事実を風化させるなよ
〜 Ah 総理!! 公約通りにやらんかい !!」
「自衛隊は命懸けで 戦場に橋を架ける 事務方トップは焼肉接待、ゴルフで賭ける
〜 Ah 防衛産業 料亭でカッポレ !!」
「人の生命のためにやるべきことはそれか? どうして早めの対応と治療を拒んだ?薬害の魂
〜 Ah 官僚、メーカー、注射したろか !?」
「社長の僕は知りません社員が全て勝手にやりました 消費期限も材料も産地もデタラメ食品の嵐
〜 Ah 一番安全美味いのはダンボール !?」
●アンコールも最後の最後。バンドを全員引き上げさせて、クワタは一人一本のエレキを担ぐ。
●そこで歌うのが「希望の轍」だ。アルバム「稲村ジェーン」に収録されているが、なぜかこのアルバムだけクレジットが「SOUTHERN ALL STARS AND ALL STARS」。ナニ?この含みを持たせたバンド名?。基本サザンの正式アルバムにカウントされていながら、実はクワタ以外のサザンのメンバーが全く関わってない曲が多く含まれているのがこのアルバムの秘密。
●そんで、この「希望の轍」こそが、サザンが全く関わらなかったクワタソロ曲なのだ。サザンを代表するビッグチューンだけど、実は隠れソロだったわけ。もうそれもカミングアウト。サザンとソロの境界が完全消滅したと取ればイイのか、サザンなんてオレん中で所詮この程度のモンという開き直りか。とにかく象徴的なラストでこのライブは幕を閉じる。
●最終シングル。
![]() | I AM YOUR SINGER (2008/08/06) サザンオールスターズ 商品詳細を見る |
●「I AM YOUR SINGER / OH!! SUMMER QUEEN 〜夏の女王様〜」2008年
●もうどこでもかしこでもヘヴィプレイ過ぎ。レコ屋でも有線でもラジオでもCMでもワイドショーでもかかり過ぎ。もういいワ、さすがに。曲の内容は、まさしく30年を支えてくれたファンへの感謝の気持ちとサービズ精神のカタマリ。サザンのヒット曲を全部足して、そんでその数で割ったかのようなポップソング。もうファンの為です、オレのアーティストエゴは消し去って、ファンの中にあるオレらのイメージを正確になぞってあげます、というフル出力のサービス精神。だって「ボクはキミのシンガー」なんだから。ホント、コレで最後なんだから正しい姿勢ですよ。
●カップリングは、ロックサイドのサザンを全部合体させたチューン。夏&海&渚&恋愛&チョッピリスケベ、というサザンの王道テーマがすべて搭載のフルアーマー仕様。
●サザンオールスタースは青山学院大学の学生バンドがそのまま発展したモノだ。桑田佳祐は、22歳でデビューして、その大学生ノリのテンションのままで、この30年を駆け抜けた。人一倍のサービス精神と目立ちたがり根性で、日本人全体の期待に応えてきた(日本人でサザンを聴いた事のない人は物凄く希でしょ)。
●その彼が、オヤジとなった自分の顔を見て、とうとうその重荷を下ろそうと決意した。52歳。彼のクリエイティヴは枯渇する気配なしだが、サザンというフォーマットで戦う時代は終わったわけだ。
●ボクは病気になって、大好きな仕事から引きはがされ、もうその能力もスキルも失われてしまい、ニートも同然になってしまったんだけど、桑田佳祐の大きな決断と転身に、なんか勇気づけられる気分なのです。「ヘンな無理をせず、自分が納得の行くやり方で、それなりに生きていく」という選択をした先輩として。だから文章も最近はスゴく粘っこくなって、読める人なんていない状況になってました。とにかく、30年お疲れ様でした。さようなら、サザン。コレからもイイ音楽作って、クワタさん。
●オマケ。ボクはサザンの変遷を時期に区切って考えてました。
・第一期:1978年〜1982年 バンドデビューから、異形のバンドとして立場を作った時代
・第二期:1982年〜1986年 デジタル楽器を導入してサザンサウンドを確立する時代
・第三期:1986年〜1989年 KUWATA BAND、初のクワタソロの時代
・第四期:1989年〜1995年 復活サザン、小林武史とのコラボ時代、クワタセカンドソロ
・第五期:1995年〜2000年 サザン、商業的には絶頂期……でも…?
・第六期:2000年〜2008年 クワタソロ活発化、「キラーストリート」。そして活動休止。
●もうコレで決着です。おしまい。
●過去の関連記事はこちらに。
「サザン再聴、その9」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-498.html
「サザン再聴、その8」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080801.html
「サザン再聴、その7」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080607.html
「サザン再聴、その6」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080327.html
「サザン再聴、その5」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080317.html
「サザン再聴、その4」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html
「サザン再聴、その3」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071206.html
「サザン再聴、その2」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20070802.html
「サザン再聴、その1」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-69.html
2008.08.14
「無理しない奥義」をかいま見た瞬間。そんで内容の濃い新聞。
●庭にセミの死骸2匹を見つけたノマドヒヨコ兄妹。
●庭に穴を掘って埋葬。そんで二人揃って手を合わせてパンパン。この場合、柏手ではない気がするけど…。ムシたちの冥福を祈ったそうだ。
●かけ算を覚えるノマドヒヨコ兄妹。
●なんかの教材付録で付いてきた防水加工のかけ算九九一覧表が、我が家の風呂に貼ってある。ある日、本屋を一緒に歩いてたノマドが、そこで売ってた「磁石セット」が欲しいと言い出したので、九九3の段まで言えるようになったら買ってやる、と約束した。そんで二週間。この夏休みでノマドはホントに「磁石セット」をゲットした。次は6の段まで覚えたらチェスを買ってやると言ってある。5の段だけ先に制覇した。9の段まで全部覚えたら、ニンテンドーDSの将棋ゲームが賞品だ。そっから先は、また賞品を12の段まで覚えさせてみよう。インド人の子供は19の段まで覚えるんだよね。
●ヒヨコにも2の段までで折り紙セットと言ってるんだけど、うまくいかない。「インイチがイチ」「ニイチがニ」「ニニンがシ」。この三つしか言えない。でも「ニク十八」というフレースだけはお気に入りで、ゴハンにおニクが登場すると、「わーおニクだ!18まいたべる!」と必ず言うようになった。食べ物に絡めるとインプットされるんだな。「インゴがゴ」も「イチゴがゴ」と言えば覚えるのか?
●自律神経失調症とのお付合い(その65)〜「デイケア/無理しない奥義」編
●昨日も病院だ。横浜じゃなくて池尻の方だけど。
●コッチの先生がボクの主治医であって、横浜はあくまで「リワークプログラム」の現場ってコトなんだけど、横浜の出来事に対して、この先生にセカンドオピニオンを聞くような構図になってる。リワークでよくわからんコトは、全部この先生に聞けばいい。最近はそんなノリ。
●センセイ、横浜のカウンセラーの人から「分析的心理療法」というのを試してみないかと提案されたので、近くこの治療を始めようと思います。ぶっちゃけその「分析的うんぬん」てのがナンなのかは具体的によく分からんのですけど。
●センセイ「へー…。それお金かかるんじゃないの?」いや、フツウに保険きくみたいです。「あら。随分立派な病院さんね。アレはけっこう時間もかかるでしょ」そうっスね。3回セットとか5回セットなんですかって聞いたら、長期にわたって毎週続けるものなんですって。「いや期間だけじゃなく、一回の時間も」あ、一回50分って言ってました。かなりヘトヘトになるって聞いてます。「思い出したくない事も思い出させられるわよ。それに気をつけて」そうらしいんですよね〜。コチラの病院では、社会人としてのあり方とか仕事との関わり合いとかが話題の中心だったじゃないですか。でも向こうの病院は、ソコにはさして関心がなくて、ボクの子供時代の話とかを聞きたがるんです。原因はソッチにあるって言わんばかりに。ま、テキトウにやります。「でもさすが大病院ね。そんな事まで出来るほどスタッフが豊富にいるなんてご立派」…はああ。そういうもんなんですか。
●センセイ「で、アナタお盆どうするの?」ワイフとコドモは月末ハワイ旅行行っちゃうんですけど、ボクは行きません。那須高原一泊でかなり寝込みましたからね、しばらく旅行はコリゴリ。で、その一週間は国立の実家に行こうかと…。ぶっちゃけホントは行きたくないんですけどね。もう生活のテンポが違い過ぎてウルサいんすよ。「…ま、結構余裕ありそうだから、お盆ということで一週診察お休みしたら。ウチは休みなしだけど、国立から来るのは遠いでしょ」最近センセイの対応が徐々にユルーくなってる。ボクの病気が良くなっている証拠と思いたい。
●実際、多少の余裕が出て来たような気がする。「無理しない奥義」が見えて来たのだ。
●デイケアの人々は、ゆったりと過ごすコツを心得ている。例えばトランプ。大の大人が7人で「ダイヒンミン」とか「七ならべ」に熱中するのは、遠目に見たら結構マヌケだと思うが、いい社交のキッカケにはなるのでボチボチ楽しい。ことローカルルールがイッパイある「ダイヒンミン」については、仕切り屋のようなオニイさんメンバーが「ジョーカー革命はアリです。で、ハチ切りもアリです」ジョーカーにハートの3が勝つってのはアリですか?「それはナイです」決然とルールを周知してくれる。よって、このメガネのオニイさんをトランプさん(仮名)と呼ぶ事にする。
●で、4回くらいやると「じゃ、ちょっと休憩しますか。」……。え、休憩なの…? トランプさんのパリッとした仕切りに誰もがカードを置いて、ふう、と休憩する。あ、ホントにみんな休憩してるし。…とにかくこのデイケアの常連さんはホントに小刻みに休む。タッキュウさん(仮名)もよく昼寝する。モヒカンさん(仮名)はじめマージャン組は打ち始めるとノンストップだけど、ソレ以外はひたすらボーッとしてるし。
●今まで医者に「無理しない」って100回以上言われてきたけど全然ピンとこなかった。しかし、その「無理しない」人々がここデイケアには大勢いる。それを自分の目で見て、初めて「無理しない」動きを理解できた。いや、理解とは言えない……ブルース・リー的に言えば「DON'T THINK IT, FEEL IT !」。「無理しない」を感じた。しかし、今まで全生涯無理しっぱなしのボクとしては、感じる事が出来ても、まだ実践は出来ない。この「無理しない奥義」を体得開眼できるまでは、もう少し時間がかかりそうだ。
●デイケア新聞。
●デイケアにはいくつかの係があって、班に分かれて係活動をする。「茶話係」は月イチのレクリエーション「茶話会」を準備する。「小旅行係」はやはり月イチの外出ツアー(映画を観に行くとか)を企画する。今月はカラオケバイキングなんでボクは行かないッス。カラオケボイコット。そんであともう一個が「新聞係」。メンバー、スタッフから寄稿を募ってB5版の冊子を作るのだ。コレが結構いい内容で興味深い。
●基本はテーマを決めて「夏の思い出」とか無難な話題を募るのだが、フリーな話題を寄せる人もいる。ココには普段トークでは聞けない事が出て来て非常に興味深い。自由時間はいつもガンプラ作ってるガンダムさん(仮名)は、新型新幹線に関する渾身のコラムを綴る鉄道オタクであることが判明し、しかもトゥーンタウンの魅力を思い入れタッブリに綴る重度のディズニーマニアであることが判明した。料理が得意な超メタボ系スキンヘッド、シェフさん(仮名)が実は高校球児の甲子園経験者で、今でも見事なフォークを投げるというコトも判明した。
●亀ヶ岡遺跡出土の遮光器土偶キャラをマジックで毎回描いてる青年も発見。メガネのヤセっぽっちさんで、ボクの隣でセッセと土偶がサーフィンしてる様子を描いていた(微妙にキモカワイイ)。あ、その土偶キャラ、アナタが描いてたんですか!新聞のバックナンバー見てても毎回登場してくるからナニかと超気になって。でもなんで土偶なんスか?「うーん、別に意味ないんですけど…前、イラストの描き方の本を読んでたら思いついて……確かに土偶キライじゃないですけどね」…不思議だ。今後カレのコトはドグウ青年と呼ぼう。

(ホンモノの亀ヶ岡遺跡出土の遮光器土偶。ご参考まで。)
●他にも、毛筆で高密度に文字を書き殴ることで読解不明までイッちゃってる文章とか、CGで描かれた不思議なイモムシイラストとか、簡単に看過できない物件が沢山登場する。ココで読むからフツウに見えてるが、病院の外の人が見たら「ヤバい、電波系だ」と思うのだろうか? 土偶も登場するし…。敢えてボクも電波にやられた表現を模索するってのはどうだろうか?
●あるメンバーさんは、もうアパートを引き払って実家へ帰って来いと両親がプレッシャーをかけてくる、障害者のレッテルを貼られる位なら公費の援助なぞ受けるなと言うと、自分の苦しみを吐露する。公費の援助受けて何が悪いの?とボクなら考えるが、古い世代の人には生活保護を受ける事すらハズカシいと思う人が多いですからね…。今の最低賃金ではフルタイムを働いても生活保護の方がイイ暮らしができるという矛盾社会で、ナニをいまさら…。神経症が精神障害なら夏目漱石は障害者だよ。エジソンだってミケランジェロだって精神疾患を持ってた。障害者のレッテルにナニか問題でも? そしてこのメンバーさんは自分のクリスチャンとしての信仰告白をする。…へヴィだな…。
●ちなみに、今月のテーマは「コワい話」。ボクは渾身の超コワい体験談を寄稿しました。内容は秘密。コワ過ぎるから。
●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html
●久しぶりにマンガ喫茶でマンガを読んだ。
●三軒茶屋で今どき珍しい硬派系のマンガ喫茶を発見した。リクライニングシートはおろか個別ブースもない、フリードリンクさえも種類が少ない、外見がキタナい。でもマンガは多い!そして安い!今後、ボクの癒しスポットにしよう。そこで読んだマンガ。
![]() | SOIL 7 (BEAM COMIX) (2008/05/26) カネコ アツシ 商品詳細を見る |
●カネコアツシ「SOIL」第1〜7巻
●カネコアツシ初めて読んだんだよね〜。「BAMBI」がヴィレッジヴァンガードのオシャレマンガコーナーに燦然と輝いているのを見て、「コイツはハイプだ。ドント・ビリーブ・ザ・ハイプ!」と思い込んでました。オシャレパンクっぽい画風がね、どうもね…。
●でも、これは清潔なニュータウンに起こる不気味な異変を描くサイコホラー。とある幸せな家族の謎の失踪をキッカケにして、この「そいるニュータウン」に不可解な事件が起こりまくる。第一波では、一見幸福で平穏と見えたこのコミュニティの裏側に潜んでいた、主婦たちの偽善と陰湿なイジメがとうとう露見して街が混乱するサマ。第二波は、中学生たちが大人たちの理解を超える行動を起こしてさらに街を混乱させ、集団的ヒステリーに陥っていくサマ。平和な郊外都市の秩序をひん剥いて、そこに潜む欺瞞を引きずり出す作家の意図は、まさにパンキッシュ。
●しかしそれは、事件の本質とは関係ない表面的な問題。事件の本質に迫る第三波の異変は、もはや完全に理解不能なオカルト現象。縄文時代までに遡るこの土地にまつわる因縁が、様々な混乱によってこじ開けられた時空の裂け目から噴出、街全体が異空間に飲み込まれていく。地球には存在しない成分を含む塩のカタマリ、奇形成長する植物、街に現れた昭和の殺人鬼、地下に監禁されている謎の男……。異常事態のレベルがグングン上がっていく。やーもっと早く読んどけばよかった。
![]() | 軍鶏(シャモ) 25 (25) (イブニングKC) (2006/11/22) 橋本 以蔵 商品詳細を見る |
●橋本以蔵/たなか亜希夫「軍鶏」第20〜25巻
●親殺しの前科を持つ少年院上がりの男、ナルシマリョウ。少年院で出会った空手で驚異的な才能に覚醒し、その徹底的にダークでエゲツないキャラクターで、オモテもヤミも引っ括めて格闘界を引っ掻き回していく。この20〜25巻では掲載誌を講談社「イブニング」に移して、やはり天才的な身体能力を持つ元バレリーナ・トーマとその彼を支える格闘家たちの、ナルシマリョウとの対決を描く。イノセントを象徴するトーマと、凶悪なダークヒーロー・リョウ。性質を異とする者の戦いが始まる。
●コレ、知らなかったんだけど、原作者・橋本以蔵と作画・たなか亜希夫が著作権を巡って裁判沙汰になっていたという。たなか氏は「橋本さんは連載当初に大ざっぱなあらすじが書かれた原稿しか出しておらず、ストーリーやキャラクター設定、せりふなどすべて自分が行った」とし「『軍鶏』は自分が単独で創作した作品」と主張。コレで双葉社「アクション」の連載が中断、気付いたら講談社「イブニング」に引っ越ししてた。装丁も今までとガラリと変わってる。でもマダ橋本以蔵のクレジットは残ってるんだね。内容もエグイが作品の周囲もエグイ。
●今月も、職場関係者、職場を去った後輩たちから、メールや手紙をもらった。うれしいもんだ。ありがとう。







